4年生

4年生には“10歳の壁”がある

4年生、いよいよ高学年の入口です。多くの学校では委員会やクラブ活動が始まります。その他にも責任ある仕事を任されることもあり、急に大人びた顔が見られる頃でもあります。

親子の関わり方に、少しずつ悩みだす親御さんも増えてきておられるのではないでしょうか。

低学年のように自分が、自分がと主張することも減り、周りを見た行動や相手を思いやった発言をすることができるようになります。その反面、ギャングエイジと呼ばれる時期に突入しており、大人よりも仲間からの評価や言葉に左右されることが増えてきます。思春期・反抗期にも入っているので、ちょっとしたところで反抗する、口答えするようにもなってきていて戸惑われる親御さんもおられます。

皆さんは「10歳の壁」という言葉を聞いたことがありますか。生活面で自分と他者との違いに戸惑う時期となり、体力面では体力差が付きやすくなります。学習面では一気に抽象的思考を求められる学習が中心となり、学習の難しさや困難さを感じる子どもが急激に増えます。幼少期からとは違う、変化の大きいこの年頃に直面する、学習面を含めた課題のことを、「10歳の壁」と言います。この10歳の壁があるのだと理解して、この時期の子どもを見守ることは大切です。

4年生の学習

4年生は社会科では地図帳を持つようになり、日本全国に目を向けた学習が始まります。国語では取り扱う教材も長文が増え、登場人物の心情を捉える学習がより深まるようになります。

算数は、今までとは格段に抽象的で難しい学習が増えます。わり算の筆算、四則計算(足し算、引き算、かけ算、わり算の計算)、がい数、分数など、実生活の中では触れる機会の少なかった学習が中心となってきます。前述した「10歳の壁」とも言われるように、急に学習も難しくなり、学習意欲も停滞する子が出てきます。しかし、勉強をする上でわかる喜びや達成感を得ることができれば、勉強の楽しさに目覚めることもできるようになります。この時期をうまく乗り越え、高学年の良い波に乗せてあげたいところです。

家庭でも、テレビや新聞のニュースや番組で取り上げられたがい数や地理名などを、家族の会話で生活に取り込んでいくと、馴染みの薄い学習にも興味を持てるようになるので、お勧めです。

わり算の筆算

4年生はわり算の学年と言っても過言ではないくらい、この時期に学習するわり算の学習は非常に重要です。5・6年生のみならず、今後の数学の学習にも関わってくる重要な課題だからです。ここでつまずくと、算数や数学への苦手意識が根強く植え付けられてしまいかねません。

わり算の筆算には、繰り下がりのある引き算も使用します。繰り下がりのある引き算をさっと計算できるようになっていることが、4年生のわり算をする上では大切です。わり算でつまずいているように見えても、実際には繰り下がりの引き算から復習した方が良い子もたくさんいるからです。

また、わり算の筆算は今まで習ってきた筆算と書き方が大きく異なるため、商を書く位置や、九九の中から答えを探すこと、引くことと1つの筆算を解くだけでもいくつかの作業が多く戸惑い、そこからつまずいていく子も多いです。ノートのマス目を使って計算すること、声に出して計算の順序を頭に入れてしまうのも良いです。

ふたば問題集でも、わり算の筆算を習得できる章を多く用意しています。第3章「わり算の筆算 その1」第6章「わり算の筆算 その2」です。ぜひ、子ども達の学習にご活用ください。

分数

分数の意味は3年生で習っていますが、分数の概念は日常生活の中で一致しにくく、定着するのには時間がかかるものです。4年生でも分数の意味を理解できている子がどれほどいるでしょうか。

4年生では分数の学習は、「真分数」「仮分数」「帯分数」の意味とそれぞれの大きさを比べること、分母の同じ分数の計算程度です。そこまで理解に苦しむ学習ではないのですが、厄介なのは重要な学習なのに、分数を扱う時間数がとても少ないことです。分数は5・6年生、数学でも必須となる計算方法なので、が真分数なのか、仮分数なのかがわからなくなっていたり、のどちらが大きいのかを比べるやり方を忘れていたりするとそれだけで足止めを食ってしまいます。分数への苦手意識が培われてしまわないよう、4年生の間に定期的に復習することが望ましいです。

分数の学習は、第11章「分数」で学習することができます。

小数

5・6年生、その後の数学にもつながっていく小数の計算です。分数とも共通していることなのですが、そもそも小数の概念自体が中学年には抽象的で理解しにくいものです。しかし、小数の意味がしっかりと定着できていないと、文章題を解くのにも苦労しますし、この先複雑になっていく小数を使った学習も理解することが困難になるのは目に見えています。

幸い、4年生は小数と整数の計算なので、まだ計算としてはやりやすい方ですから、今のうちにしっかりと意味の定着と計算に慣れさせておくことが肝心です。

小数と分数の理解には、実生活の中でピザやリンゴなどを実際に2つに等分し、「これが0.5、と同じだよ。」、それを4つに等分し、「これが0.25、分数で言うといくつ?」などと数の概念と体験を結び付けていくことも有効です。

小数の学習は、第5章「小数のしくみ」第14章「小数と整数のかけ算・わり算」で学ぶことができます。

まとめ

4年生の算数はひときわ学習への難しさを感じる課題が多くあります。ですが、5・6年生や中学以降の数学を学んでいく中でも基礎的で重要でもありますので、丁寧に向き合ってあげ、子ども自身に考える力、乗り越える力を身に付けさせていくこと、達成感をもたせてあげることが大切です。教える際には、解いているどの段階で難しさを感じているのかを知ることで、適切なヒントを導いてあげることができるので、子どもの解いているところをよく観察することも必要です。

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